食品製造業 × 実務経験 × 中小企業診断士
「ISOを取っても意味がない」
「仕事が増えるだけで現場が疲弊する」
「コストばかりかかってメリットが見えない」
そんな声を聞いたことはありませんか。
その裏側には、“仕組みが機能していない”
という根本的な問題が潜んでいることがあります。
今回は、ISOが形骸化していた食品工場を立て直した改善事例をご紹介します。
【事例】
従業員300名規模の食品工場で起きた「ISOの形骸化」。
ISO取得後、コンサルや審査員からの要求事項が増えていきました。
それら要求事項が役立つなら理解はできますが、現場は必要性を感じないまま「規格要求だから」という理由だけで作業を行い、ただ記録を付け続けました。
「現場作業は忙しい」「仕事だけ増える」「クレームが減るわけでもないし、売上が伸びるわけでもない」「ISO維持費だけが増える」・・・
それでも「更新審査で指摘されるのが怖い」ため、一度決めたことをやめられない。
むしろ審査のたびに新しい指摘が増え、さらに仕事が増える。そんな悪循環が続いていました。
原因は”認証取得・維持が“目的化”していたこと”。
コンサルタントは難しいISO用語を多用してきますので、素人としては「そういうものなんだろう…」と受け入れるしかありませんでした。そして審査毎に指摘が増え、やることは膨れ上がる。
「前回の審査や指導では指摘されなかったが、必要なのか?」と反論しても、「あくまでもスポットで見ている。1度の審査や指導では気づけないこともある」と意見を言われる・・・そして、仕方ないと指示に従う
でも成果は出ない・・・。
そこで私は、ゼロベースで危害分析をやり直すことにしました。
改めて分析すると、「本当に必要な管理」と「不要な管理」が混在していました。コンサルタントや審査員は“一般論”で話すことが多いため、他社がやっている → 指摘する → 同じことをする企業が増える → それが“標準”になるという構造になっていること、つまり認証基準は、企業毎の必要性ではなく、”一般的に導入されている標準数で決められてる”ことがわかりました。
そこで「不要と判断した管理は思い切ってやめる」ことにしました。ただし、こちらの意見を主張しても納得しないコンサルタントや審査員に対しては、「“形だけ”の管理に留める」ことで現場負担を最小限にするという方針に切り替えました。
その結果、数年運用すると、問題が起きないこと自体が実績となり、審査でも指摘されなくなりました。
【教訓】
”やらされた感”では、必ず形骸化します。
これはISOだけに留まりません。小集団活動や改善活動、安全活動も同様です。
すべての仕組みで最も重要なのは 「検証」 です。
本当に必要か? 必要でないか?
実施した結果どうだったか?
この検証ができていないと、不要な作業が延々と続き、仕組みは形骸化していきます。
何かを止める、簡素化する際、コンサルタントや審査員に相談するケースもありますが、相談しても無駄です。
と言うのも、「止める」「簡素化する」ことによって企業側で問題が発生してしまうと、自分がリスクを背負うことになるため、そういった提案を了承することはありません。
むしろ難しい言葉で煙に巻かれ、「維持しろ」どころか「さらに強化しろ」という方向に進みがちです。これは、責任を企業側に押し付ける彼らの予防線になります。
だからこそ企業側が、自分たちの責任で主体的に判断することが重要になってきます。
コンサルタントや審査員に頼らない主体性の高い管理。
これこそが、「事務局は現場の味方だ」「会社として本気で良くしようとしている」という企業の一体感に発展していきます。