食品製造業 × 実務経験 × 中小企業診断士
【食品工場の改善事例シリーズ】第6弾
「現場レベルが低い」
「集合教育したはずなのに頭に入っていない」
「現場がついてこない」
そんな経験はありませんか。
この背景には、 “わからないことが、わからない” という理解の問題があるかもしれません。
今回は、教育方法を根本から見直した改善事例をご紹介します。
【事例】
従業員300名規模の食品工場で起きた「伝わらない教育」。
ISO取得に伴い、全従業員への周知が必要になりました。
まずは専門家による現場リーダーへの月1回の勉強会を数か月間実施し、そのうえで、リーダーから現場へ展開してもらう計画でしたが、現場にはまったくISOの内容が伝わりませんでした。
原因は”リーダー自身が理解できていなかったこと”。
専門家はISO用語を多用し説明していましたが、リーダーは“専門用語”で説明されても、さっぱりわからないという状態でした。そして、リーダーは「わからない」とも言えず、わかったふりをしていました。それどころか、何がわからないかさえも”わからない”という状況でした。このような状況では当然、現場に説明できるはずもありません。
そこで私が代わりに現場に対して教育することにしました。
その際、「専門用語は一切使わず、日常生活に置き換えたアニメ画で説明する方法」に切り替えました。
例えば以下の通りです。
例)PDCAを「ダイエット」に置き換える
・目標体重を決める(Plan)
・食事や運動の計画を立てる(Do)
・体重計で定期的にチェック(Check)
・減らなければ方法を変える(Act)
ISOの厳密な定義とは多少ズレるかもしれませんが、現場が理解できることの方が圧倒的に重要になってきます。
さらには、キャラクターを作り、アニメ画のポスターとして掲示。いつでも思い出せる“仕掛け”も作りました。
その結果、現場への周知に成功し、形だけの取得ではなく、意味を理解した運用へと変化しました。
【教訓】
理解してもらうには、相手の目線に合わせることが必要
難しい専門用語を多用し、さらに文章で説明すると、内容は一気にアカデミックになります。これにより専門家としての威厳は高まりますし、「報酬が高い理由」も納得しやすくなります。
しかしながら、それでは現場には伝わりません。
全く意味がありません。
現場リーダーという立場上、プライドとして「わからない」とは言い難く、結果として“わかったふり” をしてしまいます。
本来であれば質問すればよいのですが、そもそも 何がわからないのかがわからない 状態では、質問すらできません。
だからこそ、正確であることよりも、現場理解を重視し、
・相手が理解できる言葉に翻訳すること
・日常の例に置き換えて説明すること
・見て理解できる形にすること
こういったことが、教育の第一歩になると思います。