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コンサルタントは必要ないのか?

  • 2025年1月18日
  • 読了時間: 9分

更新日:2025年10月18日

東京商工リサーチは、2024年の経営コンサルタント業の倒産件数が154件と集計開始以降で年間最多だった2023年の143件を上回り、過去最多を更新したと発表しました(『TSRデータインサイト 2024年「経営コンサルタント業」倒産状況 (東京商工リサーチ)』)。


そもそもコンサルタントは必要なのでしょうか?


同記事が掲載された『yahoo! JAPAN ニュース』に寄せられた約2,700コメントをもとに検討してみたいと思います。



消費者の声                                         


今回はコメントから読み取られるキーワードを整理したものを”消費者の声”としてまとめてみました。なお、同じキーワードが多数あっても1件として整理していますので、正確な統計データではなく「こういった意見があるんだ」程度に確認していただければと思います。


結果                                            


コメント別に「クライアントへの不満」「コンサルタントへの不満」「アドバイスへの不満」「報酬への不満」「コンサル業への不満」の5つに集約し、不満に思う内容とその要因、改善案についてまとめると概ね下記の通りになりました。
(消費者の声)


「・・・なるほど、確かにそうかも」という感想です。

私も過去の担当業務で、ある専門家にコンサル委託した経験がありますが、意見に挙がっているものの多くが当てはまっていましたし、その経験から得たイメージも概ね納得できます。

とは言うものの、私も中小企業診断士の端くれです。ここではその立場から私見を述べてみたいと思います。


コンサルタントに対する不満について                             


コメントのなかに「口だけで何もしない(アドバイス、情報提供のみ)」「耳が痛いことしか言わない」というものがありました。


これら意見に対しては、それがコンサルタントの役割であるとご理解いただければと思います。


その理由は、コンサルタントがいつまでもクライアント企業に在籍し、実務し続けるわけにはいきませんので、どうしても、自主的に「企業側で動いてもらうこと」が必要になるからです。

また、経営が悪化してから相談に来られるケースも多いのですが、その段階で来られても、コンサルタントができることは限られてしまいます。それを「何とかなる」と楽観視する経営者に対し、まずは現実に目を向けてもらうために手厳しいことを伝えることが必要になるからです。


しかしながら、それで終わっていては単なる評論家になってしまいます。

コンサルタントのミッションは経営課題の解決にあります。ゆえに事実を伝えるだけでは解決には至りませんので、経営課題が解決できる提案と寄り添った支援(=自分も手を動かす)をおこなうことが必要になります。

経営課題が解決できる提案とは、クライアント企業の『理解と納得が得られる提案』であり、下記を考慮した上で作成します。

① 実現可能であること

② リスクが実施メリットを下回ること

③ 期待効果が高いこと

④ 上位概念に適合していること

⑤ シナジー効果があること

⑥ 発展性があること


また、どれだけ素晴らしい提案であっても、実行してもらえなければ意味がありません。

次の段階として、クライアント企業に本気で取り組んでもらうことが必要になります。そして、クライアント企業に本気で取り組んでもらうためには、何よりもコンサルタントが本気で取り組むことが必要になります。

提案は言わば「計画」であり、一番難しいのは計画を「実行」に移すことです。実行に当たっては現場を巻き込むことになります。つまり実際に”人に動いてもらう”ことになりますので、その一番難しい実行まで関わっていくことが良いと考えています。


またコメントのなかに「答えは経営者ではなく現場が知っている」というものもありました。

確かにその通りです。

多くの経営者は、これから一緒に改善活動しようとするコンサルタントに対しても会社をきれいに見せようとする傾向があります。従って、経営者からヒアリングするだけではなく、現場の意見を聞くことも大切になります。


ヒヤリングや改善活動を通じて、次第に現場の信頼が得られるようになると、会社に対する不満の声が現場からコンサルタントへ挙がってくるようになります。

その現場の声を精査した上で、コンサルタントは経営層に対して、従業員のモチベーションが上がるような職場環境の整備の提案も併せて行うと一層改善は進みます。

と言うのも、コンサルタントは時に現場の声を経営者に届ける役割も担っており、直接、経営者に伝えることができるのは社内の人間ではなく、利害関係のない社外のコンサルタントだけだからです。


当然、お金が掛かることであれば経営者は嫌がりますが、現場の本音が整理されて経営層に届けられる機会はそう多くありません。現場の本音に対する改善が進めば、会社に対する従業員の貢献意欲は高まります。結果として会社は良くなりますので、そこを目標に取り組むことが理想的です。


従業員の気持ちを慮る一方で、経営者に対する配慮も必要になります。

経営者には、”誰にも愚痴がこぼせない”という悩みを抱えていることもあります。

コメントのなかに「話を聞くだけで大金を得ている」というものもありましたが、経営者が元気で正しい判断をする上で、コンサルタントは時に経営者の話し相手になる役割も担っていると言えます。


長々と記載しましたが、コンサルタントとクライアント企業がコミュニケーションを深め、お互いに信頼関係を築き、共闘すること(=共通の目的に対しての貢献意欲)が重要であり、本来の経営改善はそこまでが1セットになります。


クライアントに対する不満について                              


第三者にアドバイスを求めること自体「経営の素質が無い」というコメントがありました。


確かに経営に関する知識は得ておくべきですが、そもそも経営に関する知識とは何でしょうか?

製造業であれば、物を作る技術も必要ですし、それを売るための戦略や営業力、人脈も必要になります。人を雇用するのであれば、労務管理や指導力、法人として守るべき法令や税金、資金調達なども必要になります。

一方、起業にはタイミングが極めて重要になりますので、経営に関する知識がすべて整った上で起業していては、成功の確率は下がります。

「起業してからでも勉強はできる」と思われるかもしれませんが、経営者は会社員のように”就業時間”があるわけではありません。勉強時間が取れるとも言い切れません。個人的には、経営者が勉強不足なところは致し方ないと考えており、大切なことは「経営知識が無いことを知ったから改めて勉強しよう」という姿勢だと思います。


コメントのなかには「AIに頼る」「ネットで勉強する」との意見もありました。私もそれらを活用する機会があり、とても役立っています。ただ1点、残念なことは、質問に対しては耳障りの良い回答しかしませんし、一般的な内容で編集されているため、自分の職務や知りたいことに対してピンポイントで答えが出てきません。質問の仕方によっては間違った回答をもらうこともあります。

資格の多くは、”どの業界・業種でも通用する一般論”が理解できているか否かを問うものが多いのですが、経営者に必要な知識は、一般論ではなく、自らの事業に限ったもので、まずは十分です。従って、費用は掛かりますが、実践形式で直接話を聞き、学習する方が効率は高まります。経営者にとって時間は、お金に換えられないところがありますので、足りない知識をコンサルタントを導入し、勉強していくことも必要ではないかと思います。


コンサルタントがクライアントに経営知識を教え、経営改善できるのであれば「自分で経営すればよい」あるいは、自分は「経営したことがない」ではないかとのコメントもありました。

経営知識だけで会社経営ができるならば確かにその通りです。しかしながら、経営者には経営者として求められるスキルがあります。

例えば人間性。人望や人脈、コミュニケーション能力のほか、感や度胸でズバッと即決する判断力も求められます。

一方、コンサルタントは慎重なところがあり、論理的思考で成功の確率を高める(=失敗する確率を下げる)ため、思いつきで動くことはありません。別の記事で解説しましたが、まずは「現状分析」や「目標設定」など計画を立ててから行動に移します。ある意味、これがコンサルタントをしたいと思う人の特性かもしれません。

従って、コンサルタントは、必ずしも経営者のスキルがあるとは言えませんが、経営者が持っていない弱みを補う参謀にはなり得る、つまり、自らが経営者としての素質があるかと言えば、そうとも言えないということです(言い訳のように聞こえるかもしれませんが・・・)。


さいごに                                          


コメントのなかに、コンサルタントは「プライドが高い(上から目線)」「机上の空論(頭がいいだけで使えない)」「現場を見ない」というものもありました。


いかにもインテリ的でかっこいいですよね・・・でも、コンサルタントは泥臭くドロドロしているのが本当の姿だと思います。

時には経営者に厳しい声をかけて、だからと言って嫌われてしまうと動いてもらえなくなるから、そうならないように気を使わなければならない・・・現場からは「指摘をして余計な仕事を増やされる」と疎まれ、ヒアリングしても挑戦的な態度で「そんなことは言われなくてもわかっている」などと反論され・・・。


また、「経営層が自分の責任を取らせるために利用している」とのコメントもありましたが、コンサルティング会社に所属する会社員であれば、今後の取引を考え、泣く泣く経営層の意に合うような提案を提出していることもあるかもしれません。


冒頭の結論として、『コンサルタントとクライアント企業がコミュニケーションを深め、お互いに信頼関係を築き、共闘すること(=共通の目的に対しての貢献意欲)が重要』と記載はしましたが、これが実に難しい・・・それでも、せっかくご縁があった会社の現状を知った以上、何とかして良くしたいという一心で取り組んでいるのがコンサルタントの姿だと思います。


コメントのなかに、コンサルタントは「信用できない」「胡散臭い」「上から目線」「責任感が無い」との意見が多くあったよう感じます。これらの意見は、なんとなく”インテリ的でかっこいい姿”と重なりますが、この人たちは、おそらくこれまで記載したコンサルタントとしての姿勢を知っていない人なのかなぁと思っています。


以上より、『コンサルタントとしての姿勢を理解した人であれば、役立つ』というのが私の意見になります。

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