業務改善が進まない・・・
- 2025年10月29日
- 読了時間: 6分

DXを進めるためには、大前提として業務改善が必要になってきます。
現状業務に、「ムリ・ムラ・ムダ」が無いかチェックし、見直しを図っていくのですが、これがうまくいっていないケースを目にします(=すべて必要な業務として現状維持。やり方も変えない)。
企業には、MVV(ミッション、ビジョン、バリュー)があります。一般的に、ミッションは「使命」、ビジョンは「あるべき姿」、バリューは「価値」と解釈されます。
これを社内の各部門に落とし込むと、ミッションは「社内における自部門の役割」、ビジョンは「目標・目的」、バリューは「目標・目的を達成するための手段」と言い換えることができ、各部門は自部署のMVVに基づいて業務を設計することになります。
では、なぜ業務改善が遅々として進まないのか?
主要因は、下記2点にあると考えます。
1.業務のビジョン(目標・目的)が曖昧になっている(目的・目標の形骸化)
2.手段が目標・目的を達成できるものになっていない(手段の目的化)
1.業務のビジョン(目標・目的)が曖昧になっている(目的・目標の形骸化)
例えば、「お客様の満足度を高める」というミッションを掲げ、「クレームゼロ」というビジョンを立てたとします。仮にクレームゼロが達成できたとしても、残念ながら顧客満足度が上がらないケースもあり得ます。
その理由は、クレームゼロは、あくまでも顧客満足度を高めるひとつの手段にすぎないからです。
商品に魅力がない、価格が高い(=価格ほどの価値がない)、そう言った不満足があると、どれだけクレームゼロであっても、購買力は上がりません。すると「クレームゼロ」というビジョンは、お客様の満足度を高めるというミッションを必ずしも支持する内容にはなっていないと言えます。
しかしながら、厄介なことに「クレームゼロ」は、お客様の満足度を必ずしも高めるものではないにしても、商品やサービスを提供するうえでは消費者に実害を及ぼしかねない事案になります。
従って、業務の縮小を図ろうとした場合、担当者から不信の声が挙がる可能性があります。その声が判断を躊躇させ、「もし仮に、業務を縮小してクレームが多発したらどうしよう・・・」そのような考えが、最終的に”業務の現状維持”という結論を選択させます。そして見直す業務は無しということで業務改善は進まなくなります。
今回は、消費者に実害が発生しかねない「クレーム」で説明しましたので、判断が難しくなりましたが、昔から続けているデータ集計や書式、会議と言った、社内の業務であっても、自分のところで途絶えてしまうことを恐れるあまり、手を付けないケースがあります。これが業務改善が進まない一つ目の理由です。
改めて、全体像を俯瞰し、ミッションは何か?そのミッションを指示するビジョン、そしてビジョンを指示するバリューは何か?そこを熟考し、優先順位を明確にしておくだけで、業務の棚卸はスムーズに進むようになります(=大義名分は、歴史ではなく、ミッション・ビジョン・バリュー)。
2.手段が目標・目的を達成できるものになっていない(手段の目的化)
例えば、「クレームゼロ」というビジョンに対し、ある担当者は「毎月、品質KYを実施する」という手段の業務を行っていたとします。この担当者は、マンネリ化を防ぐことを目的に、毎月、従業員に実施テーマをヒアリングし、さらに絵や写真を盛り込んだ資料を何時間もかけて作成し、決められた頻度で活動を実施していましたが、担当者の努力空しくクレームが減らないことは多々あります。
その理由は、「品質KYを実施する」と言う対策がクレームをゼロにする有効なものではなかったからです。
本来は、何度か品質KYを実施し、クレームが減らないようであれば、別の手段も考える必要があります。しかしながら、「毎月、品質KY」を、”実施すること”が目的になってしまってしまうと、その先にある「クレームゼロ」というビジョンが見えなくなってしまっています。
長年、ルーティン化してしまった業務は、その目的の意図が理解されないまま、業務のみ切り取られて分配されることがあります。
例えば、上記の例、「品質KYを実施する」という業務は、そもそも「クレームゼロ」というビジョンを達成させるため、会社が”全従業員のスキルアップが必要”と判断し、専任の教育担当者を指名し、その教育担当者が「集合教育」「専門教育」「力量評価」「品質KY」という体系的な教育プログラムを組み、実践していたものの、教育担当者が異動した際に、新たな専任担当は設置せず「集合教育」「専門教育」はAさん、「力量評価」はBさん、「品質KY」はCさんという風に業務が割り振られただけかもしれません。
このような割り振りがなされてしまうと、業務を受け取ったCさんは「品質KY」を実施することが目的になってしまうことは当然のことです。
ちなみにこんなケースがありました。
各工場のクレームが一向に減らないことを受け、本社の取り組みとして”各工場の課題解決支援”という業務が新たに決定しました。
しかしながら、実際のところ、各工場にどのような課題があるかわからなかったため、まずは各工場への訪問とヒアリング、クレーム発生状況を把握するために毎月、各工場のクレーム集計表を入手するようにしました。
この業務がしばらく続いた後、”各工場の課題解決支援”の担当者が別部署に異動することになりました。
引き継ぎ書には、現在の業務内容として、”ヒアリング” ”巡視” ”クレーム集計”と記載されていましたので、上長は、”ヒアリングはAさん、”巡視”はBさん、”クレーム集計”はCさんが担当するよう業務分配しました・・・が、割り振られた業務は、そもそも存在するものではありません。
あくまでも、それまでの担当者が”各工場の課題解決を支援する”という業務の一環、つまり各社の課題を見つけるために必要と判断し、情報収集してきたのであり、それ単独では何の意味も成しません。
仮に大企業で工場数や情報が膨大であるならば話は別ですが、担当者が処理できる規模であれば、分業化する必要はありません。担当者自身が集計するからこそ、様々な気づきを得ることもありますし、疑問があればリアルタイムで各社に確認することも可能になります。
恐らく、Aさん、Bさん、Cさんが異動する際、昔は無かった”ヒアリング” ”巡視” ”データ集計”という業務が引き継がれていくことになるでしょう・・・無駄な業務の追加です。
ちょっと脱線しましたが、手段として取り組んでいる業務が、目的と誤認されて引き継がれていくことになります。これが業務改善が進まない二つ目の理由です。
ビジョンを達成させるためには、様々なバリューがありますが、それらは、業務を設計した当時の担当者が必要と判断し実施しているものにすぎないため、その担当者がいなくなった場合には、手段になっている業務を割り振るのではなく、再度、ビジョンを指示するバリューを考え直すことが必要になります。
3.まとめ
「業務の目的は何であり、そのための手段としてどのような業務を行っているのか?」
ここに何度も戻っては再度、業務を設計することを繰り返せば大丈夫です。
ポイントを改めて以下に記載します。
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