Eー5.検証活動を強化すること
- 2025年4月26日
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『検証活動の強化』について解説します
PDCAを回す上での失敗(マンネリ化)は、ほぼ検証が機能していないために発生します。ここでは、検証をうまく進めるためのポイントについてご紹介します。
1.検証を行うしくみをつくる
リスク分析や手順書の作成は、活動を展開するうえでの”計画(P)”に過ぎません。
各職場では、その計画に沿って対策を”実施(D)”していますが、そこで終わってしまっているケースが多く見受けられます。
すると、活動はマンネリ化して効果がでないから、「安全規格を導入しても意味がない」「マニュアルを作成しても良くならない」という結論に至ってしまいます。
これまでの記事で何度も記載していますが、どのような活動を展開する際も『PDCAサイクルを回す』ことが基本であり、なかでも検証(C)が極めて重要になります。
安全活動においては、「ほんとうに現在のルール(体制)で問題ないか?」「ルール通りに対策が実施されているか?」「 対策や手順に無理はないか?」などが”検証(C)”に該当します。
検証を行う際は、実施目的を明確にしたうえで(≒活動を支える活動になっていること)、定期的に実施します。
2.事例
検証手段は様々ありますが、”巡視”もそのひとつと言えます。
ここでは工場巡視を例に詳しく解説します。
まずは巡視を行う実施者を、経営トップ、安全責任者、職場管理者(代理者)による3段階に分け、実施者毎に巡視頻度を決めます(1回/月、1回/週など)。
「実施者」「頻度」を分けるということは、各巡視の目的が異なることを意味しますので、巡視するテーマ(目的)を各々決めることが大切になります(漠然と巡視しても時間の無駄です)。
例えば、安全責任者の巡視では”ルール順守状況をチェックする”、職場管理者の巡視では”職場の裏側をチェックする”など、テーマは様々考えられますが、ポイントは、事故・トラブルになりかねない重点課題に絞ることです。
テーマを絞った後は、具体的に何を確認したいかチェックシートを作成します。
後述しますが、チェックリストを作成することによって、データ化する際の纏まった情報源として活用することができるようになります。
テーマ選定する・・・チェックリストを作成する・・・定期的に巡視する・・・このように記載すると、「そんな暇は無い!」と反論されるかもしれません。
誤解されているかもしれませんが、定期的に実施すると言っても毎日する必要はありません。
最低1回/月でも良いです。それでも難しいことでしょうか?
少し考えてみてください。業績は月末に集計し、その結果を知ったうえで、次のアクションを策定していませんか?
年間目標計画の達成に向け、月次の業績を確認し、目標未達であれば要因分析して、追加対策を講じる・・・それは検証ですよね。
安全はチェックの暇がないのに、業績はチェックできるということは、安全より利益を優先しているということになりませんか?
「経営安全第一」を掲げるのであれば、それで良いですが、「品質・労働安全第一」を掲げるのであれば、経営トップ、安全責任者ができない理由はありません。
にも関わらず、なぜかできない。
その理由は「検証が利益に直結しない活動であること」が関係しています。
例えば、ものづくりにおいて、商品は原材料が加工によって別の価値に姿を変えられたものになりますので、”つくる”という活動は価値を生むことになります。
また、きちんと商品ができていなければ、消費者に迷惑が掛かりますので、”出来栄えをチェックする”という検証活動も価値を生むことになります。
しかしながらこの活動は、不良品がほぼ発生しない場合、その活動自体、意味が無いことになりますので、無駄な作業と捉えられることがあります。
事故・トラブルが発生していない状況が続くと、気持ちのどこかに慢心が生まれ、”大丈夫だろう”と検証が疎かにされてしまっている・・・これが安全活動の検証を停滞させている要因のひとつになります。
現場の作業者は、管理者や経営者を見ています。
どんなに立派な安全方針を表明しても、体現していなければ誰もついてきません。
是非とも考え方を変えてください。
【実施内容】ルール順守状況、事故・トラブル発生個所の改善履行状況、危険な行動、5S状況(7S状況)、重点課題、従業員の様子(メンタルケア)など |
【マンネリ化の打破】実施者の刷新(各職場管理者の相互チェック)、実施内容の変更(重点課題の設定)、頻度の変更(通常期1回/月 ⇨繁忙期2回/月)、実施者の育成(他社への工場見学) など |
工場巡視はスポット的な検証活動になりますので、工場巡視で現場の実態がすべてが確認できるわけではありません。
現場を一番良く知っている人は実際に日々作業している従業員です。
従って、従業員の声(ヒヤリハット)を吸い上げることが重要になってきます(これも検証活動の一環です)。
得意先による工場監査は、指摘を受けると今後の取引に影響する可能性もありますので、現場はピリピリします。
一方、組織内で行われる工場巡視は、指摘を受けても大きな影響はないはずですが、経営トップや安全責任者、職場管理者が厳しいと、現場は得意先による工場監査同様にピリピリします。
「巡視=指摘=怒られる」と認識すると、現場の作業者は事実を隠すようになり、積極的に話もしなくなります。
工場巡視は社内の運用管理ルールの検証になりますので、事故・トラブルが発生する前に問題が顕在化することは良いことです。
経営トップや安全管理者、職場管理者は同じ会社で働く仲間です。
皆さんの姿勢が現場を動かします。
巡視では、現場作業者に声を掛け話しやすい環境をつくってください。
3.PDCAサイクルが回る流れをつくる
検証活動は行っているが、それが会議や文書に反映されないケースもよく目にします(特にシステムが未成熟だとこのような状況が起こりやすくなります)。
冒頭、説明しましたが、工場巡視は検証活動のひとつになります。
あくまでも1回/月(あるいは1回/週)に実施した”点”の結果に過ぎません。
しっかり検証するためにはそれら単発の”点”を”線”で結ぶことが必要になります。
検証に関する情報としては、工場巡視以外にも、検査結果や事故・トラブル発生状況、得意先からの指摘、現場の意見(ヒヤリハット)など、多数あります。
それらも記録として残しただけでは”線”にはなりません。
従って、委員会事務局は、個々の検証情報を入手し、データ化(整理)していきます。
そして、検証データから何が読み取れるか検討し、委員会で報告するようにします。
報告の際は、事実を伝えるだけではなく、課題解決案も併せて報告するようにします。
そのように報告することによって経営トップが判断しやすくなります(アウトプットが出しやすくなります)。
私の経験では「事務局は月1回、委員会を開催するだけが仕事」と事務局軽視の傾向がありました。
誤解されがちですが、委員会は単に決められた頻度で開催すれば良いというものではありません。
委員会は会社として安全活動に関するアウトプットをする場(=報告と検討、決定の場)になりますので、結論を出すことに意義があります。
成果がでないケースは、おそらく、委員会でのアウトプットが無いことがPDCAが回らない主要因と推察されます。
そのような状況にならないよう、委員会事務局は、検証の生データではなく、データを分類別に整理する、グラフ化する、文書を短い箇条書きにするなど、各委員が理解しやすくなる(=検討・決定しやすくなるよう)インプット情報に纏めあげる必要があります。
また委員会がスムーズに運営できるように議事進行していくことも重要になってきます。
改めての説明になりますが、事務局が手を抜き、インプット情報を”点”で示したところで、各委員や経営トップが報告内容を理解できなければ、当然ながらアウトプットが出せるはずもありません。
委員会の運営次第でインプットとアウトプットの量、つまり成果が変わってくる。
従って、委員会を有効に機能させることが必要になります。

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