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Aー16.問題の把握(具体例)

  • 2025年9月15日
  • 読了時間: 8分

『問題の把握』の具体例について解説します


経営者、学生、主婦の3ケースをつくってみました。詳細はこれまでの解説を参考にしていただき、ここではSWOT分析から導かれる①顕在化している問題 ②潜在化している問題について解説します。

(問題解決のフロー図)


「生ハム」を加工販売している経営者A                            


悩み
熟成生ハムはテレビや雑誌で瞬く間に評判となり、これを機会に経営者Aはネット通販を開始した。またイタリアンレストランや百貨店からの引き合いも強まってきた。その結果、生産および販売能力をオーバーし対応が間に合わない状況が続いている。製造は従来の3倍量を新たに仕込み、販売は従業員数を2倍にして対応したが、それでも人手不足は否めない。従業員を募集してはいるがなかなか集まらず、採用してもすぐに辞める状況が続いている。

SWOT分析
外部環境(機会)
イタリアからの生ハム輸入禁止が続いている
生ハムの国内生産量は年々増加傾向にある
家族で作るおつまみがマンネリ化しつつある
外部環境(脅威)
コロナによる「家飲み」でおつまみの需要が高まっている
すでにチーズやアボカドを生ハムで包んだ商品が販売された
内部環境(強み)
新しいことへのチャレンジ精神
家族経営ゆえに追及できるこだわりの生ハム
留学経験を活かした食肉加工品以外のイタリアン商品の開発
内部環境(弱み)
家族で経営しているため、新規採用しても店舗の雰囲気になれない
イタリア料理は勉強したが、食肉加工に関する資格しかない
職人気質で経営、営業経験がない

顕在的な問題
① 明確な販売戦略が無いこと(経営、営業に強い従業員がいないこと)
(解説)
ネット通販や百貨店、レストランなどの受注対応で人手不足に陥っていますが、そもそも熟成するということは「熟成期間は商品が動かせない」ことを意味します。そうすると現在の従業員数を2倍に増やしたところで、人気の高さから、すぐに在庫切れになってしまうかもしれません。また現在熟成している生ハムの販売はまだ先になりますので、現在、需要が高いからと言って製造を3倍量に増やしたところで、実際に販売するタイミングではすでにイタリアからの輸入が再開されているかもしれません。あるいは現在のような需要が続いていないかもしれません。ゆえに販売戦略をしっかり立てることが必要になります。

潜在的な問題
① 熟成生ハムに代わる第2の柱(商品)が無いこと
(解説)
精肉店なので生ハム以外の商品も販売しています。しかしながら熟成生ハムの人気を受け、生ハム以外の商品の売れ行きが芳しくありません(売上高に占める熟成生ハムの割合が高くなっている=熟成生ハム依存度が高い)。ゆえに熟成生ハムが下火になると収益悪化を招く危険性がありますので、その依存度を下げるため、熟成生ハムに代わる別商品を考えておく必要があります。
② 将来のあるべき姿がないこと
(解説)
「おいしい商品を提供したい」との理念はありますが、現在はレストランや百貨店、ネット通販と引き合いが強いチャネルへの販売を強化するという「売れるところに売る」状態になっています。自社は精肉店です。もともと精肉を販売し、精肉として販売できない端材を有効利用するために加工品を副次的に販売してきました。現在、同社が考えている「おいしい商品」とは精肉なのかそれとも加工品を指すのか、また「提供する」とは一般消費者なのかそれともレストランや食品加工メーカーを指すのかなど曖昧な点が多くあります。つまり、やりたいことが漠然としており将来ビジョンがイメージできません。「おいしい商品を提供したい」との理念を掘り下げて考えることによって自社の使命(ミッション)、あるべき姿(ビジョン)、消費者にとっての自社の価値(バリュー)が明確になり、従業員や消費者に創業(操業)の想いが伝えられるようになります。


「卒業後の進路」を考えている大学生B                            


悩み
やりたい仕事は特にない。これと言った特技や資格もない。人のためになる仕事はしたいが、結局のところどの企業も「顧客第一」を掲げていることから「人のためになる仕事」がよくわからなくなってきている。父親のような会社員にはなりたくないが、仲間が就職活動を進めている姿を見ると不安になり、自分も就職活動を始めようか悩んでいる。

SOWT分析
外部環境(機会)
労働移動円滑化が推進されている
就職・転職に有利な資格がある
若い世代は自分らしさを大切にする傾向がある
外部環境(脅威)
日本の平均年収は年々減少傾向にある
人手不足でDX化が推進されている
企業の倒産件数が増加傾向にある
内部環境(強み)
金銭的に余裕があり自分がやりたいことができる環境
市から表彰されるほど子供や高齢者のためにサポートする姿勢
人のためならば最後まで諦めずやりきる姿勢
内部環境(弱み)
資格がない
金銭的な不自由を経験したことがない
社会人としての経験がない

顕在的な問題
① 将来的なビジョン(自分の軸)が無いこと
(解説)
父親の姿を見て「会社員になりたくない」と思いながらも、仲間が就職活動する姿を見て「自分も就職活動しようか」と悩んでいること、自分のことは途中で諦めることがあっても人のためならば最後まで諦めずやりきるということ、また大学への進学も漠然と決めていたことから自分の軸が無いと言えます。

潜在的な問題
① ストレスを抱え込む(抱え込みやすい)こと
(解説)
自分のことより人のために尽くす姿勢が強いということは、人手不足の企業において頼まれると断れない存在になると考えられます。このような性格はストレスを溜めやすくなります。また現在の生活を続けるのであればそこそこの給料で生活は維持できるかもしれませんが、社会人になるとライフスタイルが変化します。特に結婚すると相手の考えや子供に対する期待などで生活スタイルはガラッと変わります。そのような状況に直面したとき、年収が年々減少する時代において金銭的な問題が発生することも考えられます。これまで金銭的に不自由な経験が無いということは、新たな生活スタイルへシフトする際の金銭的な問題がストレスになる可能性もあります。
② 職を失うこと
(解説)
人手不足でDX化が推進されていること、企業の倒産件数が増加傾向にあることから労働生産性が低い企業や従業員は今後淘汰される可能性が考えられます。一方で働き方改革に伴い労働移動円滑化が推進されていますので、スキルの高い人材は自分のライフスタイルに適した働き方が実現できるかもしれません。しかしながら大学生Bは控えめな性格で自分の軸がなく資格もありません。また両親がやさしく金銭的に不自由な生活を経験したこともありませんので危機意識も低いと考えられ、漠然と日々を過ごしていく可能性が高いと考えます。仮にそのような日々を過ごすと成長できない結果、淘汰される可能性が考えられますので、将来的に失業する危険性が懸念されます。


「貯金」を考えている主婦C                                 


悩み
積極的に実施可能な節約に励んではいるものの、夫の年収は低く、また主婦Cも仕事をしていないため貯金がなかなか貯まらない。子供に習い事をさせたいと思っているし、長期休暇には一緒に旅行にも行きたいと思っている。一方で食料品の値上げや増税が予定されていることもあり可処分所得はさらに下がるのではないかと心配している。従って節約だけで開業資金を貯めることは無理なのではないかと悩んでいる。

SOWT分析
外部環境(機会)
デジタルの発展によりC to Cモデルができている
可処分所得が減少している
副業を認める企業が増えつつある
外部環境(脅威)
増税が予定されている
企業の倒産件数が増加している
内部環境(強み)
家事テクスキルを持った保育士
自分がやりたいことを認めてくれる家族
人と話すことが好き
内部環境(弱み)
家事が苦手な人の気持ちがわからない

顕在的な問題
① 支出を計画的に管理していないこと
(解説)
収入は夫の給与のみなので貯金を増やすためには支出を減らすしかありません。積極的に実施可能な節約に取り組んでいますが、あれもこれもしたいとの想いがあることから、せっかく貯金ができてもそちらに消費してしまっています。そもそも必要な開業資金から逆算した節約になっていないのではないかと疑問が残ります。例えば開業資金1百万円を1年間で稼ごうと計画すると8万円/月貯金することが必要になります。仮に家族3人の生活費が8万円/月とすると生活費0円生活を1年間続けることになります。また仮に生活費が16万円/月であったとしても、8万円/月貯金するためには50%削減することが必要になりますが、それも難しいです。従って1年間、8万円/月を貯金すること自体無理な計画であると言えます。
② サロン(店舗)での開業にこだわっていること
(解説)
店舗を構えると初期費用や固定費が発生しますので開業資金はそれなりに必要になります。家事テクであれば対面が理想的かもしれませんので、オンラインサロンは除外するとしても、無店舗であればカルチャースクールや出張店舗、有店舗であってもコンテナハウス店舗を活用すれば資金を抑えながらの開業が可能になります。

潜在的な問題
① ライバルが増えること
(解説)
育児と家事テクスキルを持った保育士は強みではありますが、働き方改革により副業を認める企業が増えていること、C to Cのビジネスモデルができていることから主婦Cがサロンを展開することによって、そのビジネスを知ったライバルが同様なスキルを身につけサロンに参入してくる可能性があります。


問題の把握の解説は以上です。またネタが思いついたら追記します。

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