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こうなると会社はうまくいかなくなる

  • 2023年9月5日
  • 読了時間: 8分

更新日:2025年10月19日

『会社をダメにする7つのポイント』について解説したいと思い、ちょっとしたフィクション事例を作ってみました。



背景(設定)                                        


A社は食品製造を営む創業70年の中小企業でした。地元での知名度は高く、業績は安定していました。しかしながら数年前にM&Aを受け経営権を失いました。その後、親会社から社員が派遣され、A社の社長に就任しましたが、そこから同社の経営状況が悪化していきました・・・。



ダメにするポイント1 理念・方針を急に変える                        


A社の企業理念・方針は従業員に染みついていましたが、M&AによりA社が長年大切にしてきた企業理念・方針(MVV)は全く違うものになりました。

企業理念・方針は会社と従業員を繋ぐ共通の目的になります。

それが具体的な説明もなく、新たな理念・方針を掲げられて、「明日から従うこと」と言われても簡単に受け入れられるものではありません。言い方は悪いですが理解さえしていない状況でした。

尤も「買われたのだから当然」との意見があるかもしれません。

仮にA社が経営不振であったならば、会社再建のために従業員も必死に理解しようとしたかもしれませんが、A社の業績は安定しており、顧客の信頼と利益は確保できていました。つまり今回は、友好的買収であり、A社の理念・方針は間違ってはいないと従業員は誰もが理解していました。

またM&Aを受けた後も体制はそのままで「何も変えない。これまで通り頑張ってほしい」と伝えられていたこともあり、M&Aに不安を抱いていた従業員も安心していました。

それが1年後、新社長に交代してすぐに変わりました。この頃から将来に対する不安・混乱を抱く従業員が増え始めました。


ダメにするポイント2 会社を否定する                            


新社長はA社の社内風土や商習慣を否定し始めました。

A社は原材料にこだわりを持っており、高くても質の良い自社スペックを採用していましたが、新体制では「どれも同じ」と否定され、安い原料を採用するようになりました。

また、地元の付き合い(=一緒に地域経済を盛り上げていこうとする責任)を大切にしていましたが、「業績に繋がらない」と、新聞広告や地域団体への加盟、イベントの協賛などは全て中止させました。

さらには、マネージャー職として実務を持っていなかった管理職に対しては「人件費の見直し」と称し、管理職の削減、給与体系の見直し、実務の追加や役職の兼任などを始めました。


A社は創業以来、ステークホルダーとの関係を大切にし、自分たちが社会に認められる存在であることを誇りに事業を展開していました。

その裏には「良いモノを創って、良い関係を築いていればお客さんは裏切らない。何かあったときに助けてくれる」との考えがありました。

それを「利益最優先」の方針で70年の歴史を否定されることは誰も面白く思っていませんでした。

この頃から社長や会社に対する不信、ストレスを感じる従業員が増え始めました。


ダメにするポイント3 組織改編が多くなる          


A社の管理職は、社長との距離が近いこともあり、人事異動や組織、業務を改編する際に相談を受けることもありました(中小企業のあるあるです)。

その理由は、現場をよく知っている者のアドバイスも聞き入れることで机上では見えないリスクを回避しようと社長が考えていたからだと思います。

しかしながら、新社長は管理職へ相談することもなく、独断で人事異動と組織改編を敢行しました。訳もわからず降格させられた管理職、人員を削られるチーム、業務を増やされた部署もありました。


管理職が納得できない人事・組織体制に改編したところで成果は上がるはずもありません。

そして、半年後には、また組織改編が行われました・・・業績が停滞気味のマンネリ化した組織を刺激するために改編するのであれば理解できますが、半年前に改編し、ようやく業務リズムができた段階での再編は、現場に混乱しか招きません。それがまたリセットされてしまうため、腰を据えて業務を行うことができるはずもありませんし、落ち着いて施策を考えることもできません。現場にとっては負担以外の何物でもありませんでした。

その結果、業績は前年割れしました。

この頃からモチベーションは急速に悪化し、退職する従業員が出始めました。


ダメにするポイント4 会議が多くなる                            


業績が低下するにつれ業績回復に関わる会議が増えました(業績が悪い会社のあるあるです)。

会議では事実に基づく生データや理解しやすく加工した資料が必要になります。

大企業では、システム管理されているケースが多く、データの抽出や加工には時間が掛からないかもしれませんが、中小企業では、紙やエクセル管理されているケースが多いため、人力でデータを抽出し取り出す必要がありました。

情報処理に精通した管理職は少なく、さらに人員削減された関係で現場作業も行わなければならない。そのような理由から、部下にも、データや資料作成を依頼するケースが増えましたが、部下も担当業務があるわけですから、デスクワークに時間をとられると本来業務ができなくなります。

顧客のためではなく、社内のために時間を費やしている状況で業績が上がるはずもなく、さらに業績は悪化しました。

この頃から会社に不満を強める従業員が増え始めました。


ダメにするポイント5 コスト削減が始まる                          


業績が上がらないなか、利益計画を達成させるためにコスト削減が強く求められるようになりました。

まずは、「人件費」。業績が上がらないため、生産部門は製造すものが減り、管理業務を行っていた間接部門員も、処理件数が減りましたので、さらなる人員削減と残業削減が始まりました。そして不足する人員は管理職がカバーするようになりました(最後は管理職が何でもかんでもカバーする流れ)。

管理職はマネージャーとしての役割を担っていましたが、自らが実務する時間が次第に増えた結果、チーム運営が疎かになりチーム内のコミュニケーション」が減り、チーム内の統制が効かなくなり始めました。

その他、人件費のひとつである「福利厚生費」であった社内旅行や食事会もカットされました。社内旅行や食事会は、別チームの従業員との「コミュニケーション」も減り、業務上の相互理解が効かなくなり始めました。


・・・コスト削減により一時的に利益は確保できましたが、売上高が伸びない限り企業の成長はありません。結局、業績は前年割れとなり、さらに賞与カットまで行うようになりました。赤字経営での賞与カットならば理解できますが、利益が前年割れであるからと言ってカットされたことに従業員の不満は高まりました。しかも急な人事・組織改編や役職の兼任、会議資料の作成など以前より労働時間や精神的ストレスが増しています。まさに「頑張るだけ損をする」かのような状況になりました。


経費削減には「行ってはならない削減」があります。

それは、従業員のヤル気、モチベーションを下げることに関するものであり、会社に対する「貢献意欲」に深く関わってきます。

この頃から反発する従業員が増え始めました。


ダメにするポイント6 責任を現場に押し付ける                        


いろいろと改革を進めましたが、業績はアップするどころか年々下がり続けました。

この結果を受け、新社長は「改革についてこない(指示通り動けない)管理職に責任がある」と業績悪化の責任を現場に押し付けるようになりました。

管理職は言われるまま従い、身を粉にして働きました。当然ながら、業績悪化の要因は経営方針、組織改編など舵取りの失敗にあり、責任は新社長にあると考えています。

この段階で新社長と管理職を含む従業員との間に、二度と埋めることができない溝が生じました。

この頃から考えて行動する従業員は減るようになりました(考えて行動する従業員は会社に見切りをつけ新たな道へ進むようになりました)。会社に残る従業員は将来的な希望も夢もなく「今を生きる(お金の)ために」と割り切り、会社に対する「貢献意欲」はほとんど残っていませんでした。


ダメにするポイント7 将来ビジョンがない(常に今期が大事)                 


そもそも新社長はなぜ結果を急いだのか?

後日談ですが、新社長が改革を進めた裏には、親会社に対し自身の成果を献上する目的がありました。改革を強行しなくても、それだけでは成果は低い・・・親会社のような手法を採用すれば、業績はもっと上がるだろうと考えていました。

しかしながら、長期経営で生き残っている企業は独自の術、強みがあったからこそ生き残れたのであり、残念ながら大手企業の戦略を模倣するだけでは生き残れませんし、業績も上がりません。

目に見える成果を出し、それを手土産に親会社へ戻る算段だったのかもしれませんが、それは叶いませんでした。


なお、これも後日談ですが、親会社は数多くの中小企業に対してM&Aを繰り返していますが、傘下に入った子会社は、うまくいっていないケースが多く存在しています。

つまり買い取った会社に親会社から派遣された社員は、出世の通過点として子会社社長というポストを利用し、単年の結果に執着するあまり、その子会社の将来までは見ていないからです。



組織を有効機能させるための考え方として『バーナードの組織の3要素』があります。

3要素とは「共通の目的」「コミュニケーション」「貢献意欲」であり、これら3要素が欠けると組織不全になると考えられています。従業員の心は「不安」⇨「不信」⇨「モチベーション低下」⇨「不満」⇨「反発」⇨「無関心」へと変遷しました。

会社に見切りをつけた従業員のなかには退職を選んだ者も多くいます。まさに組織の3要素が崩れたために業績悪化を招いた事例であると言えます。

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